Journal

Stories, ideas, and field notes from T2.

Inside the Design

— The thinking behind T2 gear

Text by Saori Hase
Illustration by Heisuke Kitazawa

『Inside the Design』は、ファッションの現場に長く身を置くことで
独自のデザインへの視点を培い、自身もウルトラランナーであるライターの長谷智織が、
『Tabisuke Tabizo』のプロダクトをデザインの視点から読み解く連載コンテンツです。
“最適なフィッティング”を追求する『Tabisuke Tabizo』のテック開発とパターン設計、
素材とカラーの選定や縫製方法の採用に至るまで、
北鎌倉のアトリエで行われるデザインの“Inside=内側”をプロダクトを通して紹介します。
Episode 1のChapter 3では、新開発のアジャスター機構『T2 Quick Bind™️』の“Inside”を紐解きます。

『Inside the Design』は、ファッションの現場に長く身を置くことで独自のデザインへの視点を培い、自身もウルトラランナーであるライターの長谷智織が、『Tabisuke Tabizo』のプロダクトをデザインの視点から読み解く連載コンテンツです。
“最適なフィッティング”を追求する『Tabisuke Tabizo』のテック開発とパターン設計、素材とカラーの選定や縫製方法の採用に至るまで、北鎌倉のアトリエで行われるデザインの“Inside=内側”をプロダクトを通して紹介します。
Episode 1のChapter 3では、新開発のアジャスター機構『T2 Quick Bind™️』の“Inside”を紐解きます。


Episode 1

T2 Ultra Belt

Chapter 3: T2 Quick Bind™

2026年初夏、梅雨と台風が相まって、外は大雨で土砂降り。
私は雨の音が耳に入らないほどに、『T2 Ultra Belt』のコードを固定する最終仕上げに没頭していた。

新しいアジャスター機構である『T2 Quick Bind™』にゴムのコードを通し、適度な力でバランスよく、かつコードをしっかりと結ぶ。
少し特徴のある結び方をするのだが、「結び方が上手!」なんて褒められたものだから、私は鼻の穴を膨らませながら、うきうきと作業を進めていた。

新たなアジャスター機構の模索

メインファブリックの選定を進めると同時に、前回のエピソードで触れた二つ目の要素である「どのように理想とするアジャスターを機能させるのか」。

これが最も難易度の高い課題であった。
さまざまに変化する身体の動きに追いつき、どのような方法でフィットさせていくのか。確実に縦方向の剛性感を高めなければ、揺れてしまう。

アトリエにあるさまざまな素材で、硬さと加工のしやすさを両方担保するパーツづくりを試すも、想定以上に難しかった。
開発初期からテストしていたアドバイザーの長尾暁人さんは、
「当初の補強パーツは洗濯で反り返ってきたりして、着用感に変化があり面白かったです」
と笑いながら話してくれた。

『T2 Quick Bind™』の誕生

ないのなら、作っちゃおうか。
そのような決断に簡単に至るほど単純ではなかったであろうが、ひとつのギアを作るために、相当なコストをかけてでもパーツから作ってみる。
諦めることなくそう決断できる、Tabisuke Tabizoのそういう、独自のこだわりの強さが私は大好きだ。

熊本県宇城市にある有限会社小森プラスチック工業の協力を得て、さまざまな配合と3Dプリンターで試作を繰り返し、ようやくたどり着いた。
正式な素材の名称は『動的架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV)』。
私にはとても覚えられる気のしない、難しい名前である。

T2 Ultraシリーズに使用されているオリジナル・テクノロジー『T2 High Mount Fit™ 2.0』から着想を得て、さらに固定し保持する形状を形にしたものが『T2 Quick Bind™』だ。
クイックにアクセスでき、調節可能だと、名前からすぐに誰もが理解できるネーミング。

ゴムを通す前提で山型の形状とし、上からの力に対しても強くしている。それは波板に着想を得た台形のピラミッド型で、真下から柱に支えられ、横方向へと通るゴムが暴れないようになっている。

弾性を持たせたまま、縫製時に針を通せる硬さに調整されているなんて、改めて、やっとたどり着いた素材なのだなと、手元のボルドーの美しいパーツをまじまじと見てしまう。

『T2 Quick Bind™』がもたらす
自由なフィット感

アクティビティが長時間になればなるほど、変化し続けるフィット感に対する要望。スタート時にはタイトさが心地よかったものが、後半には不思議と身体はリラックス感を求めたりする。

『T2 Quick Bind™』に通された3本のコードは、前後合わせて6か所で固定。一方向に限らず、前後どちらもその都度微調整できる点も、ユーザー目線で嬉しいところだ。

次回は、『T2 Ultra Belt』のインプレッションについて。

長谷智織

はせ・さおり。兵庫県神戸市出身、神奈川県藤沢市在住。
サーフィンとハイキング、そしてセレクトショップ販売員として培ったフットワークの軽さと好奇心は、2019年の関東転勤を機にトレイルランニングへと向かう。その年、会社の先輩に誘われ出場した『Madarao Forest Trails』をきっかけに、山を走る魅力に惹かれ、2022年にさらなるウェルネスな暮らしを求めてアパレル企業を退社。人生で一度はという思いで挑んだ『Mt.FUJI 100』を経て、ウルトラディスタンスの世界へと歩みを進める。
「迷ったら楽しい方」をモットーに、好奇心の赴くまま各地のコミュニティや人とのつながりを広げながら、100マイルレースへの挑戦とともに自分らしいペースで日々を重ねている。
人気のトレイルランニング系ポッドキャスト『さかみち』の二代目パーソナリティとしても活躍中。

Instagram

長谷智織

はせ・さおり。兵庫県神戸市出身、神奈川県藤沢市在住。
サーフィンとハイキング、そしてセレクトショップ販売員として培ったフットワークの軽さと好奇心は、2019年の関東転勤を機にトレイルランニングへと向かう。その年、会社の先輩に誘われ出場した『Madarao Forest Trails』をきっかけに、山を走る魅力に惹かれ、2022年にさらなるウェルネスな暮らしを求めてアパレル企業を退社。人生で一度はという思いで挑んだ『Mt.FUJI 100』を経て、ウルトラディスタンスの世界へと歩みを進める。
「迷ったら楽しい方」をモットーに、好奇心の赴くまま各地のコミュニティや人とのつながりを広げながら、100マイルレースへの挑戦とともに自分らしいペースで日々を重ねている。
人気のトレイルランニング系ポッドキャスト『さかみち』の二代目パーソナリティとしても活躍中。

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北澤平祐

きたざわ・へいすけ。イラストレーター、作家。横浜市生まれ。川崎市在住。
アメリカに16年間在住後、帰国、イラストレーターとしての活動を開始。書籍の装画や、洋菓子フランセのパッケージ、アフタヌーンティー、サンリオとのプロダクト、ココスのメニューなど幅広い分野でイラストを提供。2026年『ユニコーンレターストーリー』(集英社/ホーム社)で、第41回坪田譲治文学賞を受賞。その他の著書に『しおりとめくり 北澤平祐作品集』(PIE)、『ゆかいようかいノート』(小学館)、『ひげがながすぎるねこ』(講談社)、『ルッコラのちいさなさがしものやさん』(白泉社)などがある。

Instagram
Official website: www.hypehopewonderland.com

北澤平祐

きたざわ・へいすけ。イラストレーター、作家。横浜市生まれ。川崎市在住。
アメリカに16年間在住後、帰国、イラストレーターとしての活動を開始。書籍の装画や、洋菓子フランセのパッケージ、アフタヌーンティー、サンリオとのプロダクト、ココスのメニューなど幅広い分野でイラストを提供。2026年『ユニコーンレターストーリー』(集英社/ホーム社)で、第41回坪田譲治文学賞を受賞。その他の著書に『しおりとめくり 北澤平祐作品集』(PIE)、『ゆかいようかいノート』(小学館)、『ひげがながすぎるねこ』(講談社)、『ルッコラのちいさなさがしものやさん』(白泉社)などがある。

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