Journal

Stories, ideas, and field notes from T2.

Takumi Ishiyama

JAPAN NOTS

Running Through Hidden Japan

日本を訪れるランナーやハイカーにとって、街と山はしばしば切り分けて捉えられる。
都市では整備されたルートを走り、トレイルは目的地となる山頂を目指す。
しかし秦野では、その境界が曖昧に溶け合い、日々の営みの中に自然が静かに入り込んでいます。
街の背後に広がる山々、足元から湧き上がる水、季節とともに変わる光や空気に、
走ることで触れることができます。
『Japan Nots』Episode 1の第2回では、表丹沢の麓に広がる秦野の「自然」に焦点を当てました。
フォトグラファー・石山匠のレンズを通し「街」と地続きに存在する風景と、
その中に息づく時間を見つめていく。
今回は、その核心となる「自然」のストーリーです。

日本を訪れるランナーやハイカーにとって、街と山はしばしば切り分けて捉えられる。都市では整備されたルートを走り、トレイルは目的地となる山頂を目指す。
しかし秦野では、その境界が曖昧に溶け合い、日々の営みの中に自然が静かに入り込んでいます。街の背後に広がる山々、足元から湧き上がる水、季節とともに変わる光や空気に、走ることで触れることができます。

『Japan Nots』Episode 1の第2回では、表丹沢の麓に広がる秦野の「自然」に焦点を当てました。フォトグラファー・石山匠のレンズを通し「街」と地続きに存在する風景と、その中に息づく時間を見つめていく。今回は、その核心となる「自然」のストーリーです。

Episode 1 : 秦野

第2回:街とつながる自然

街とともにある自然

霧の中へ、足を踏み入れる。
秦野の朝は、まだ名を持たない輪郭のまま、静かにほどけていく。
街の気配を背に、山へと向かう道はあまりにも近く、気づけば私は白い霧に覆われた森の内側にいた。

冬の冷たさを残した影の中に、やがて柔らかな光が差し込み、芽吹きの気配を見つけることができる。
季節は確かに、次の頁へと進んでいることを感じる。

踏み出すたびに、自分の粗い呼吸だけが世界を満たす。音は削ぎ落とされ、ただ前へと進むためのリズムだけが残る。
けれど、ふと立ち止まるとその静寂は反転する。閉ざされていたはずの空間に鳥たちの囀りが一斉に満ちてくる。

やがて辿り着いた山頂で視界はひらける。
足元に広がるのは雲の海。流れ、重なり、ほどけていく白い層が、この土地の時間を静かに語っている。

ここで歩き走ることは、競うことではない。名もなき誰かが繰り返してきた途切れない営みの延長だ。
観光では触れられない、生活の深部に息づく自然。その流れは、水となり、秦野の食となり、再び身体へと還ってくる。

畑の匂いに導かれ、湧き水の気配に触れながら走る道は、やがて食卓へと続いていく。
歩き走ることと食べることが、ひとつの流れとして繋がっている。

走り終えたあと、澄んだ水とその恵みが身体に染み渡る。秦野という土地の輪郭が、ゆっくりと内側に定着していく。
ここには、静かに根を張るランナーやハイカーのテロワールがある。

霧の中へ、足を踏み入れる。
秦野の朝は、まだ名を持たない輪郭のまま、静かにほどけていく。街の気配を背に、山へと向かう道はあまりにも近く、気づけば私は白い霧に覆われた森の内側にいた。

冬の冷たさを残した影の中に、やがて柔らかな光が差し込み、芽吹きの気配を見つけることができる。季節は確かに、次の頁へと進んでいることを感じる。

踏み出すたびに、自分の粗い呼吸だけが世界を満たす。音は削ぎ落とされ、ただ前へと進むためのリズムだけが残る。けれど、ふと立ち止まるとその静寂は反転する。閉ざされていたはずの空間に鳥たちの囀りが一斉に満ちてくる。

やがて辿り着いた山頂で視界はひらける。足元に広がるのは雲の海。流れ、重なり、ほどけていく白い層が、この土地の時間を静かに語っている。

ここで歩き走ることは、競うことではない。名もなき誰かが繰り返してきた途切れない営みの延長だ。観光では触れられない、生活の深部に息づく自然。その流れは、水となり、秦野の食となり、再び身体へと還ってくる。

畑の匂いに導かれ、湧き水の気配に触れながら走る道は、やがて食卓へと続いていく。歩き走ることと食べることが、ひとつの流れとして繋がっている。

走り終えたあと、澄んだ水とその恵みが身体に染み渡る。秦野という土地の輪郭が、ゆっくりと内側に定着していく。ここには、静かに根を張るランナーやハイカーのテロワールがある。

Takumi Ishiyama

いしやま たくみ。1973年生まれ。東京出身、東京在住。アマチュアフォトグラファー。
クライアントだったカメラメーカーを通じて写真に目覚め、独学で撮影にのめり込む。トレイルランニングの大会オフィシャルフォトグラファーとして活動しながら、詩的な表現で瑞々しいランナーの姿を切り取り続けている。ポートフォリオでもあるInstagramからは、日本のランニングカルチャーとコミュニティの一側面を見ることができる。
https://www.instagram.com/isymtkm/

Takumi Ishiyama

いしやま たくみ。1973年生まれ。
東京出身、東京在住。
アマチュアフォトグラファー。
クライアントだったカメラメーカーを通じて写真に目覚め、独学で撮影にのめり込む。トレイルランニングの大会オフィシャルフォトグラファーとして活動しながら、詩的な表現で瑞々しいランナーの姿を切り取り続けている。ポートフォリオでもあるInstagramからは、日本のランニングカルチャーとコミュニティの一側面を見ることができる。
https://www.instagram.com/isymtkm/


秦野について

秦野は東京の中心部から電車で約1時間、表丹沢の山麓に広がる街です。
丘陵と山の稜線に囲まれた盆地に位置し、
豊富な湧水によって古くから人々の暮らしが支えられてきました。

ランナーにとっては静かな街路や水無川沿いの道など、
街の中にも走りやすい環境が広がっています。
街の背後には表丹沢の山域が広がり、
塔ノ岳鍋割山へと続くトレイルヘッドへもアクセスすることができます。
また、多くのランナーやサイクリストが集まるヤビツ峠や、
雄大な表丹沢を横目に走る渋沢丘陵など、
シリアスランナーからファンランナーまで幅広いランナーが楽しめる懐の深さも秦野の魅力です。

◎アクセス
新宿駅から小田急線(急行)で秦野駅まで約70分。
駅を出ると、街から山へと続く景色がすぐに広がります。

◎ラン情報
距離目安:15〜25km
累積標高:400〜1200m
路面:ロード+トレイル
見どころ:塔ノ岳ルート、ヤビツ峠、街中の湧水スポット

秦野について

秦野は東京の中心部から電車で約1時間、
表丹沢の山麓に広がる街です。
丘陵と山の稜線に囲まれた盆地に位置し、
豊富な湧水によって古くから
人々の暮らしが支えられてきました。

ランナーにとっては静かな街路や
水無川沿いの道など、
街の中にも走りやすい環境が広がっています。
街の背後には表丹沢の山域が広がり、
塔ノ岳鍋割山へと続くトレイルヘッドへも
アクセスすることができます。
また、多くのランナーや
サイクリストが集まるヤビツ峠や、
雄大な表丹沢を横目に走る渋沢丘陵など、
シリアスランナーからファンランナーまで
幅広いランナーが楽しめる懐の深さも
秦野の魅力です。

◎アクセス
新宿駅から小田急線(急行)で
秦野駅まで約70分。
駅を出ると、街から山へと続く景色が
すぐに広がります。

◎ラン情報
距離目安:15〜25km
累積標高:400〜1200m
路面:ロード+トレイル
見どころ:塔ノ岳ルート、ヤビツ峠、
街中の湧水スポット