Journal

Stories, ideas, and field notes from T2.

Takumi Ishiyama

JAPAN NOTS

Running Through Hidden Japan

東京から約70分。
秦野には、街と山が驚くほど近い距離で存在しています。
街の背後には表丹沢の山々が広がり、足元には豊かな湧水が流れる。
人々の暮らしと自然がゆるやかにつながりながら、この街の風景を形づくっています。
そしてその風景をつくるのは山や水だけではありません。
この土地で暮らし、働き、走り、山を楽しむ人々=コミュニティ。
そのコミュニティもまた、秦野という街を形づくる大切な要素です。
『JAPAN NOTS』秦野編の最終回では、
そんな秦野に流れる「コミュニティ」に目を向けました。
フォトグラファー・石山匠のレンズを通して見えてきたのは、
日々の暮らしの延長線上に生まれる、人と人とのつながりでした。
街があり、自然があり、人が集まる。
今回は、そんな秦野の最後のフォトストーリーです。

東京から約70分。秦野には、街と山が驚くほど近い距離で存在しています。街の背後には表丹沢の山々が広がり、足元には豊かな湧水が流れる。人々の暮らしと自然がゆるやかにつながりながら、この街の風景を形づくっています。
そしてその風景をつくるのは山や水だけではありません。この土地で暮らし、働き、走り、山を楽しむ人々=コミュニティ。そのコミュニティもまた、秦野という街を形づくる大切な要素です。
『JAPAN NOTS』秦野編の最終回では、そんな秦野に流れる「コミュニティ」に目を向けました。フォトグラファー・石山匠のレンズを通して見えてきたのは、日々の暮らしの延長線上に生まれる、人と人とのつながりでした。
街があり、自然があり、人が集まる。
今回は、そんな秦野の最後のフォトストーリーです。

Episode 1 : Hadano

最終回

街と山をつなぐコミュニティ

水でつながる人々

人は山に導かれて集まるのではない。
その山から流れ出る水に導かれているのかもしれない。

秦野を歩いていると、そんなことをふと思った。

丹沢の山々に降った雨は、長い時間をかけて地中を巡り、この街のあちこちで湧き出す。
その水は人々の暮らしを支え、畑を潤し、食卓を豊かにしてきた。

そして今、その水に惹かれるように人が集まってくる。
ランナーたちもその一人だ。
速くなるためだけなら、どこで走ってもいい。
けれど彼らはこの街を選ぶ。

朝の澄んだ空気の中を走り、川沿いの道を辿り、山の稜線を見上げながら日々を過ごす。
この街の風景は、走ることで少しずつ身体に馴染んでいく。

何気ない河川敷の道は練習コースになり、季節ごとに表情を変える山々は、
いつしか自分の暮らしの一部になる。

走ることは、景色との距離を縮める行為なのかもしれない。
だから人は集まる。
記録を競うためだけではなく、この土地の空気を共有するために。
年齢も職業も、走る速さも違う。

それでも同じ様な時間帯に集まり、少し話をして、一緒に走る。
そしてまた、それぞれの日常へ帰っていく。

そこには強い結束があるわけではない。
けれど、不思議な安心感がある。

今週は走れなくてもいい。
来週でも、来月でもいい。
また帰って来ればいい。
そんな余白を残してくれる場所が、コミュニティにはある。

ローカルコミュニティには、その土地の性格が現れるともいう。
もしそうなら、秦野のランニングコミュニティは、この街を流れる水のようだ。

山から湧き出る豊かな水は、人々の暮らしを支え、畑を潤し、野菜や穀物を育ててきた。
日本酒もこの土地の恵みで醸される。
ランナーたちは、その恵みの中で暮らしている。
だからこそコミュニティとは、人の集まりであると同時に、
その土地の文化を映し出す鏡なのかもしれない。

誰かを急かすことなく、留めることもなく、ただ静かに人と人のあいだを巡っている。

そして今日もまた、その流れに導かれるように、人々が集まってくる。
「コミュニティもまた、水のように人をつなぐのだ」

秦野に足を運ぶ様になった私も、水に誘われて訪れた一人なのかもしれない。

人は山に導かれて集まるのではない。その山から流れ出る水に導かれているのかもしれない。

秦野を歩いていると、そんなことをふと思った。

丹沢の山々に降った雨は、長い時間をかけて地中を巡り、この街のあちこちで湧き出す。その水は人々の暮らしを支え、畑を潤し、食卓を豊かにしてきた。

そして今、その水に惹かれるように人が集まってくる。ランナーたちもその一人だ。
速くなるためだけなら、どこで走ってもいい。けれど彼らはこの街を選ぶ。

朝の澄んだ空気の中を走り、川沿いの道を辿り、山の稜線を見上げながら日々を過ごす。この街の風景は、走ることで少しずつ身体に馴染んでいく。何気ない河川敷の道は練習コースになり、季節ごとに表情を変える山々は、いつしか自分の暮らしの一部になる。

走ることは、景色との距離を縮める行為なのかもしれない。だから人は集まる。記録を競うためだけではなく、この土地の空気を共有するために。年齢も職業も、走る速さも違う。それでも同じ様な時間帯に集まり、少し話をして、一緒に走る。そしてまた、それぞれの日常へ帰っていく。

そこには強い結束があるわけではない。
けれど、不思議な安心感がある。

今週は走れなくてもいい。
来週でも、来月でもいい。
また帰って来ればいい。
そんな余白を残してくれる場所が、コミュニティにはある。

ローカルコミュニティには、その土地の性格が現れるともいう。もしそうなら、秦野のランニングコミュニティは、この街を流れる水のようだ。

山から湧き出る豊かな水は、人々の暮らしを支え、畑を潤し、野菜や穀物を育ててきた。日本酒もこの土地の恵みで醸される。ランナーたちは、その恵みの中で暮らしている。
だからこそコミュニティとは、人の集まりであると同時に、その土地の文化を映し出す鏡なのかもしれない。

誰かを急かすことなく、留めることもなく、ただ静かに人と人のあいだを巡っている。

そして今日もまた、その流れに導かれるように、人々が集まってくる。
「コミュニティもまた、水のように人をつなぐのだ」

秦野に足を運ぶ様になった私も、水に誘われて訪れた一人なのかもしれない。

Takumi Ishiyama

いしやま たくみ。1973年生まれ。東京出身、東京在住。アマチュアフォトグラファー。
クライアントだったカメラメーカーを通じて写真に目覚め、独学で撮影にのめり込む。トレイルランニングの大会オフィシャルフォトグラファーとして活動しながら、詩的な表現で瑞々しいランナーの姿を切り取り続けている。ポートフォリオでもあるInstagramからは、日本のランニングカルチャーとコミュニティの一側面を見ることができる。
https://www.instagram.com/isymtkm/

Takumi Ishiyama

いしやま たくみ。1973年生まれ。
東京出身、東京在住。
アマチュアフォトグラファー。
クライアントだったカメラメーカーを通じて写真に目覚め、独学で撮影にのめり込む。トレイルランニングの大会オフィシャルフォトグラファーとして活動しながら、詩的な表現で瑞々しいランナーの姿を切り取り続けている。ポートフォリオでもあるInstagramからは、日本のランニングカルチャーとコミュニティの一側面を見ることができる。
https://www.instagram.com/isymtkm/


秦野について

秦野は東京の中心部から電車で約70分、表丹沢の山麓に広がる街です。
山の稜線と丘陵に囲まれた盆地に位置し、
古くから豊富な湧水によって人々の暮らしが支えられてきました。
街のいたるところで水と山の気配を感じられることも、この土地ならではの魅力です。
ランナーにとって秦野は、街と山が驚くほど近い場所でもあります。
静かな住宅街や水無川沿いの緑道を走れば、
そのまま表丹沢のトレイルヘッドへとつながっていきます。

多くのランナーやサイクリストが集まるヤビツ峠、丹沢の主峰へと続く稜線、
そしてその山並みを眺めながら走る渋沢丘陵
シリアスランナーからファンランナー、ハイカーまで、
それぞれのスタイルで楽しめるフィールドがコンパクトなエリアに凝縮されています。

ここでは、海外から訪れるランナーやハイカーにぜひ立ち寄ってほしい、
秦野と丹沢を代表するスポットを紹介します。

秦野について

秦野は東京の中心部から電車で約70分、表丹沢の山麓に広がる街です。
山の稜線と丘陵に囲まれた盆地に位置し、古くから豊富な湧水によって人々の暮らしが支えられてきました。街のいたるところで水と山の気配を感じられることも、この土地ならではの魅力です。

ランナーにとって秦野は、街と山が驚くほど近い場所でもあります。静かな住宅街や水無川沿いの緑道を走れば、そのまま表丹沢のトレイルヘッドへとつながっていきます。
多くのランナーやサイクリストが集まるヤビツ峠、丹沢の主峰へと続く稜線、そしてその山並みを眺めながら走る渋沢丘陵。シリアスランナーからファンランナー、ハイカーまで、それぞれのスタイルで楽しめるフィールドがコンパクトなエリアに凝縮されています。

ここでは、海外から訪れるランナーやハイカーにぜひ立ち寄ってほしい、秦野と丹沢を代表するスポットを紹介します。

アクセス

新宿駅から小田急線(急行)で秦野駅まで約70分。
駅を出ると、街から山へと続く景色がすぐに広がります。

a: 秦野駅 / 丹沢日和 NATURE ACTIVITY BASE

東京から丹沢を訪れるランナーやハイカーにとって、最初に立ち寄ってほしい場所が、秦野駅構内にあるアクティビティベース『丹沢日和 NATURE ACTIVITY BASE』です。 丹沢の観光案内所であり、ランナーやハイカーにとっては駅の中にある小さなトレイルヘッドでもあります。 登山やトレイルランニングの情報提供をはじめ、荷物預かりやシャワー、レンタルサービス、Wi-Fiやコワーキングスペースまで備え、山へ向かう前の準備や下山後の時間を快適に過ごすことができます。 新宿から小田急線で約70分。駅を降りて装備を整え、そのままダイレクトに丹沢の山へ向かうことができる。『丹沢日和 NATURE ACTIVITY BASE』をベースにしたこのスムーズな動線もまた、秦野という街の大きな魅力のひとつです。

b: 水無川

丹沢の伏流水によって支えられる、秦野を象徴する川です。 広い河川敷とフラットな遊歩道は、到着日のシェイクアウトランやリカバリーランにも最適。天気の良い日には、川越しに表丹沢の山並みを眺めながら走ることができます。 街のすぐそばにありながら、常に山の存在を感じられる。 そんな秦野らしい風景が広がっています。

c: ヤビツ峠

ヤビツ峠は、表丹沢の主要なトレイルヘッドのひとつであると同時に、東京近郊のランナーやサイクリストにとって特別な場所でもあります。 ロードランナーやサイクリストの多くは、国道246号沿いの名古木交差点をスタート地点とし、標高761mのヤビツ峠まで約12kmを駆け上がります。特にランナーのあいだでは、60分切りを目指す「Sub-60 Challenge」がひとつの目標として親しまれています。 峠に到着すると、そこから二ノ塔、三ノ塔、塔ノ岳へと続く表尾根の稜線が始まります。晴れた日には富士山と相模湾を同時に望むことができる、丹沢を代表する景色が広がります。

d: 護摩屋敷の水

丹沢に降った雨が、長い年月をかけて湧き出す名水スポット。 秦野盆地湧水群は環境省の「名水百選」にも選ばれており、護摩屋敷の水はその代表的な存在です。 夏のロングランや登山の途中、この冷たい湧水に手を浸し、ボトルを満たす時間は、この土地ならではの贅沢なひとときです。

e: 塔ノ岳

表丹沢を代表する標高1,491mの山であり、神奈川・東京近郊のトレイルランナーにとって定番のトレーニングフィールドです。 大倉からの往復は約21km、累積標高はおよそ1,200m。富士山、相模湾、そして丹沢の山並みを一望できる山頂は、多くのランナーやハイカーを惹きつけ続けています。

f: 丹沢山

日本百名山にも選ばれる、標高1,567mの丹沢山塊の中心的な山。 塔ノ岳から丹沢主脈の稜線をさらに進んだ場所にあり、ブナ林に囲まれた静かな稜線歩きを楽しめます。 大倉起点では往復約25km。東京近郊とは思えない奥深さを感じられるロングルートです。

g: 蛭ヶ岳

標高1,673mの神奈川県最高峰。 丹沢主脈を進み、塔ノ岳、丹沢山を越えた先に現れる丹沢最奥のピークです。 大倉から往復すると30kmを超えるロングルートとなりますが、そのぶん得られる達成感も大きいルート。 山頂からは富士山、南アルプス、相模湾までを見渡すことができます。

h: 渋沢丘陵

標高200〜300mほどの穏やかな丘陵地帯。 急峻な丹沢とは対照的に、なだらかなアップダウンと広い景色を楽しみながら走ることができます。 晴れた日には正面に丹沢の稜線、その反対側には相模湾まで見渡せることも。 スピード練習からリカバリーランまで、地元ランナーに長く親しまれているフィールドです。